紙本墨画竹の図(殷元良筆) |
しほんぼくがたけのず(いんげんりょうひつ) |
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県立博物館 |
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昭和57年3月4日 |
墨画(水墨画)は中国に起こり、古くから日本や朝鮮[ちょうせん]にも伝わっていた画法です。殷元良が首里[しゅり]王府の絵師[えし]として活躍していた18世紀(江戸中期)ごろ、日本の漢学者たちの間では、長崎より入ってきた中国の絵画技法書や作品などから墨画[ぼくが]を学び、墨竹画[ぼくちくが]や山水画[さんすいが]が盛んでした。中国の南宗画[なんしゅうが]の理念や画法の理解が次第に深まって、日本の環境に即した南画[なんが](南宗画の略語)が
形成されていったのもそのころからです。
首里の士族たちが大和風情[やまとふぜい](日本的教養)をとり入れながら、和風建築の間取りに床[とこ]の間[ま]をつくっていったのもそのころですから、その床の間に墨竹画や山水画を飾ることが流行していたものと考えられます。この竹の図はそのような時代に描かれたものですが、中国で墨画や山水画を直接学んできた殷元良が、中国の画法に日本で発達した南画の特徴も入れながら独自の画風を築いているのが見られます。 |
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