紙本着色雪中雉子の図(殷元良筆) |
しほんちゃくしょくせっちゅうきじのず(いんげんりょうひつ) |
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県立博物館 |
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昭和54年4月9日 |
沖縄では雪が降らないのに「雪中雉子の図」とは珍しい絵だと思いますが、これは首里城内の御書院[ごしょいん]にあった清国初期の画家章声[しょうせい]の「雪中花鳥図」を、殷元良が模写したものです。今日では絵画を学ぶのに模写はほとんどやっていませんが、昔はすぐれた作品を手にしてそれを模写しながら画法を学んでいました。殷元良もそのような模写による画法の学び
方をしていたのでしょう。
しかし、模写の中にも殷元良のすぐれた画風や技術が感じられます。つがいの雉子の変化ある表情や中国画法の皴法[しゅんぽう]による力強い岩の立体感、さらには画面上部の枯木の自由奔放な筆使いによる動的な表現は、雉子を中心とした下部の静的な表現に対比させて見事な画面構成となっています。殷元良の時代は、中国の南宗画[なんしゅうが]が日本に入ってきて南画[なんが]に発達していったころですから、この絵にもその影響が見られ南画の色調が感じられます。 |
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